新卒の転職サイト登録が14年で31倍|大卒1年以内離職率は10.1%まで下がった意外な理由【2026年最新】
新社会人がdodaに登録する数は、2011年と比べて2025年に約31倍まで急増しました。ところが、大卒入社1年以内の離職率は2022年12.1% → 2023年11.0% → 2024年10.1%と、むしろ下がり続けています。
「退職代行が広がって辞めやすい時代になった」と言われているのに、実際の離職率は下がっている。このパラドックスは何を意味するのか。結論を先に言うと、辞めた人の数ではなく、辞めるかもしれない人の「保険」の数が増えているということです。
自分は退職後にエージェント経由でキャリアチェンジしましたが、実はいまもビズリーチとGreenに登録したままにしています。辞める予定はありません。にもかかわらず登録を続けている理由は、「念のため」でも「情報収集」でもなく、「何かきっかけを得るため」。このあたりが、31倍というデータの正体だとだっとは見ています。
14年で31倍 — 新社会人のdoda登録は過去最多を更新
まず数字の全体像から。パーソルキャリア(dodaの運営会社)が2025年5月に発表した「新社会人の転職サイト登録動向」の最新版によると、入社直後にdodaに登録した新社会人は2025年に過去最多を更新しました。
| 比較軸 | 全体 | 新社会人 |
|---|---|---|
| 2011年比(14年前) | 約7倍 | 約31倍 |
| 2015年比(10年前) | 約3倍 | 約6倍 |
出典:パーソルキャリア株式会社「新社会人の転職サイト登録動向 2025年版」(2025年5月29日)
新社会人の増加率が、全体の増加率を大きく上回っているのがポイントです。特に2011〜2025年の14年間で比較すると、全体が7倍のところ、新社会人は31倍。2024年から2025年にかけても前年比113%で伸びています。
パーソルキャリアは、この急増の背景として「賃上げ企業の増加」と「好待遇企業への転職機会をうかがう登録の増加」を挙げています。転職市場のボラティリティ(給与の流動性)が高まるほど、新社会人の「とりあえず登録」も増える構造です。
JBpressに寄稿されたワークスタイル研究家・川上敬太郎氏の記事(2026年4月10日)でも、このデータを引用したうえで「転職サイト登録は一種の転職予備軍的な動きだが、実際の離職につながっているとは限らない」と指摘されています(JBpress「新卒の転職サイト登録は14年で31倍!」)。
同時期、大卒1年以内の離職率は下がっている
次に、離職率側のデータを見てみます。厚生労働省が毎年公表している「新規学卒就職者の離職状況」から、大卒入社1年以内の離職率の推移がこちらです。
| 卒業年 | 大卒1年以内離職率 |
|---|---|
| 2022年 | 12.1% |
| 2023年 | 11.0% |
| 2024年 | 10.1% |
出典:川上敬太郎「新卒の転職サイト登録は14年で31倍!『退職代行』が普及しても大卒離職率がむしろ低下している意外な背景」JBpress(2026年4月10日)
3年連続で下がり続け、2024年はとうとう10.1%。退職代行が一般化して「初日から辞める新卒」のニュースが話題になった時期と、1年以内離職率が下がり続けた時期が、ぴったり重なっているのが興味深いところです。
ちなみに3年以内離職率も参考値として見ておくと、厚労省の発表では2022年3月卒の大卒3年以内離職率は33.8%で、前年(2021年卒・34.9%)から1.1ポイント低下しています(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」)。1年目の9.9%という数字は4年ぶりに10%を下回った水準で、「すぐ辞める」傾向は実は和らいでいます。
退職代行モームリの新卒依頼数は2024年度1,814名で過去最多を記録していますが(詳しくは新卒の退職代行データ)、これは代行利用の数が増えているだけで、総離職者数が増えているわけではないという読み方が正確です。
パラドックスの正体 — 「辞める人」ではなく「保険をかける人」が増えた
31倍と10.1%。この2つの数字を両立させる解釈は1つしかありません。転職サイトに登録する人の大半は、実際には辞めていないということです。
川上氏はJBpressの記事で、離職率が下がった要因として次の3つを挙げています。
- 心理的な緩衝材効果:「いつでも辞められる」という安心感が、逆に踏みとどまる余裕を生む
- 企業側の環境改善:売り手市場で新卒を迎える側が気を使うようになった
- 転職後のリスク認識:辞めても次が保証されているわけではないという冷静さ
3つとも実感と一致しますが、特に1番目の「いつでも辞められる安心感 → 踏みとどまれる」という逆説は重要です。転職サイトへの登録と退職代行の存在は、辞めさせる機能ではなく、辞めなくても済むようにする機能として効いている可能性があります。
入社3ヶ月目に「もう無理」と思った新卒が、とりあえずdodaに登録して求人を眺めてみる。スカウトが1〜2件来て、「自分にも選択肢がある」と感じる。その安心感があることで、目の前の仕事にもう一度向き合える。——こういう動きが、31倍と10.1%のあいだで起きているのだと考えると、数字の辻褄が合います。
現役登録者が語る「きっかけを得るため」という動機
ここからは、だっと自身の話をします。
退職後にエージェント経由でキャリアチェンジをしたあと、新しい環境で働いているいまも、自分はビズリーチとGreenに登録し続けています。辞める予定はありません。直近で転職活動もしていません。
なぜ登録したままにしているのか、自分でも言語化しづらかったのですが、いちばん近いのは「何かきっかけを得るため」という表現です。
「念のため」とも少し違います。「念のため」は不安が前提にあって、保険をかけておくニュアンス。自分の場合はもう少し前向きで、「今の延長線ではない選択肢が視界に入ってきたら、そのとき考えてみてもいい」くらいの温度感です。
「情報収集」とも少し違います。情報収集は能動的に調べる行為ですが、登録しっぱなしの自分は完全に受動的。スカウトメッセージや求人通知が自動的に目に入ってくるのを、たまにスクロールして眺めているだけです。
つまり、自分がやっているのは、「チャンネルを開けておく」こと。別の世界の情報が自分の視界に自動的に流れ込んでくる状態を維持しておく、という行為です。
31倍の内訳 — 「きっかけ待ち層」という新しい登録者像
自分のような「登録しているけど辞める気がない」層は、従来の転職市場の想定にはなかった存在です。
転職サイトの登録者はこれまで、大きく2種類に分けられていました。
- 今すぐ転職したい層:エージェントと面談して内定まで進む
- 転職を検討中の層:まず情報を集めて、半年〜1年以内の転職を計画
このどちらにも当てはまらない第3の層が、ここ数年で急増していると自分は見ています。それが、「きっかけ待ち層」です。
| タイプ | 動機 | 行動 |
|---|---|---|
| 今すぐ転職層 | 現職を辞めたい | エージェント面談・応募 |
| 検討中層 | 数ヶ月先を見据えて | 求人研究・情報収集 |
| きっかけ待ち層 | 辞める予定はない | 登録だけ維持・受動的に眺める |
31倍の内訳を、もしパーソルキャリアがこの軸で切ってくれたら、最近の伸びの大部分は「きっかけ待ち層」で説明できるのではないかとだっとは思っています。辞める予定がない人が登録するからこそ、1年以内離職率が下がっていても登録数は増える。むしろ、辞める気がない人ほど気軽に登録できるのです。
転職エージェントに相談して自分に合うか見極めたい、という方は転職エージェントおすすめ4選で自分が実際に使った3社の比較をまとめています。「やりたいことがわからない」段階であれば、キャリアコーチングのほうが先かもしれません。
副作用 — 機械的オファーが登録者を消耗させている
「きっかけ待ち層」の急増には、明確な副作用もあります。それは、届くオファーの質の低下です。
現役で登録している自分の実感として、最近のスカウトメッセージは機械的に送られている企業ばかりです。開いてみると、プロフィールもポートフォリオも読まずに送られたことがすぐわかるテンプレート文面。業界も職種も合っていない案件が、週に何十件も届きます。
企業側から見れば、dodaやビズリーチへの登録者数が14年で31倍に増えたのなら、効率よく届ける手段として機械的な一斉送信に流れるのは自然です。でも登録者の側から見ると、ノイズだらけの受信箱になっていて、せっかくの「チャンネルを開けておく」機能が機能していません。
「良い機会があれば拾いたい」と思って登録している人ほど、このオファー疲れは深刻です。本当にマッチする1件を見つけるために、99件のテンプレートをスクロールし続けるコストが割に合わなくなってきている。
この副作用を逆手に取ると、プロフィールとポートフォリオを丁寧に整備しておけば、機械オファーではなく「ちゃんと読んで送ってくる企業」だけが残るというフィルタが働きます。31倍時代の登録は、受動的に眺めるだけでなく、質を選別する構えが必要になってきているのがリアルです。
読者への問い — あなたはなぜ登録している?
ここまでの話をまとめると、31倍という数字は次のように読み替えられます。
- 「転職したい人」の数ではなく、「保険をかけている人」の数
- 離職率が下がるのは、登録が増えても辞める決断に直結しないから
- 登録の質は、機械的オファーの副作用で下がり始めている
この状況で、あなた自身が転職サイトに登録している(あるいは登録していない)理由を1度言語化してみると、行動の指針が見えてきます。
| 状態 | 次にやるべきこと |
|---|---|
| 登録していない/辞める気もない | 今のままでOK。必要になったら登録すればいい |
| 登録している/辞める気はない | プロフィールとポートフォリオを整備して「ちゃんと読まれる登録者」になる |
| 登録している/辞めたい気持ちがある | エージェントと一度面談して方向性を固める |
| 登録していない/辞めたい気持ちがある | まず登録するより、エージェントに直接相談する方が早い |
「辞めたい気持ちがあるけど、転職して良くなる保証もない」という段階で迷っている方は、自分の軸を整理するところから始めたほうが結果的に近道です。その際は転職エージェントより先に、キャリアコーチングのほうが相性がいいケースもあります。
逆に「辞めるかどうかはまだわからないけど、辞めたくなったときにスムーズに動けるようにしておきたい」という段階なら、いまの段階で転職活動の基本的な流れを頭に入れておくだけでも、いざというときの判断速度がまったく違います。
まとめ — 31倍は「逃げ道の多さ」を意味する
もう一度、この記事の要点を整理します。
- 新社会人のdoda登録は、2011年比で2025年に31倍(パーソルキャリア発表)
- 同時期、大卒1年以内離職率は2024年に10.1%まで低下(川上氏JBpress記事より)
- この2つの数字の両立は、辞める人ではなく「保険をかける人」が増えたと読むのが自然
- 登録者の急増は、「いつでも辞められる」安心感が、逆に踏みとどまる余裕を生む効果を持っている
- 一方で、機械的なスカウトオファーの氾濫という副作用が登録者を消耗させている
- 解決策は、プロフィールを整備して「質を選別できる登録者」になること
31倍という数字を「みんな転職したがっている」と読むのはミスリードです。正しくは、逃げ道を持ちたい人が増えた。そしてその逃げ道があるからこそ、目の前の仕事にもう少し向き合える。このパラドックスが、いまの新卒就労環境の実体だと自分は思っています。
「自分は今どの層なのか」を1度言語化しておくと、日々の仕事の見え方も変わります。この記事が、その言語化のきっかけになれば嬉しいです。
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