玉川徹『辞めるやつは辞める』vs常見陽平『精神論ではダメ』モーニングショー退職代行論争を元社畜が整理
2026年4月23日放送の羽鳥慎一モーニングショーで、退職代行をめぐる大激論が起きました。千葉商科大教授で労働社会学が専門の常見陽平氏と、元テレビ朝日のコメンテーター・玉川徹氏の間で交わされたやりとりは、放送後にSNSで賛否両論を呼び、4月25日には常見氏がJ-CASTニュースの取材に「本当に怒っている」と心情を語る展開にまでなっています。
論争の構図はシンプルです。玉川氏は「辞めるやつは辞める」、常見氏は「精神論で世の中を見てはいけない」。一見正反対の主張ですが、だっとが両者の発言を読み込んで感じたのは、『どちらにも、抜け落ちている第3の論点がある』ということでした。
だっと自身は退職代行を使ったことがありません。10年以上Web系の会社に勤めて、上司にメールで退職を伝え、引き継ぎを経てスムーズに辞めた人間です。それでも学生時代のバイトでは「辞めたいのに辞められない」体験があるので、退職代行が必要な人の気持ちはわかります。『辞めた側』『辞められなかった側』の両方を経験した元社畜うさぎ目線で、この論争を整理してみました。
4月23日のモーニングショーで何が起きたのか
放送のテーマは、昭和と令和で変わる働き方でした。退職代行を使う2026年の新入社員、最低限の業務だけこなして会社と精神的に距離を置く『静かな退職』、上司が部下に過剰に配慮することで成長機会を奪う『ホワイトハラスメント』など、令和の職場で起きている変化が並んでいます。
論争の発端になったのが、玉川氏のこの発言です。
軋轢があっても、生き残る人間は生き残るしとしか思わない。あたたかく迎え入れても、辞めるやつは辞める
これに対して常見氏が、
精神論で世の中を見てはいけないし、そのなかで普遍的な何かとか、仕組みを見出して行かなくちゃいけない。そうじゃないと日本の職場が不幸なままになるし、苦しい思いをするのは若者たちなんだから、そこを考えないといけない
と反論したことで、議論はヒートアップしていきました。
『静かな退職』の話題では、常見氏がZ世代の松岡朱里アナウンサーに直接問いかける場面もあったと報じられています。アシスタントを介して若者世代の本音を引き出そうとした構図です。
玉川氏の「辞めるやつは辞める」論を、まず素直に読む
玉川氏の発言を、感情を抜きで言い換えるとこうなります。
- 職場に軋轢が起きるのは避けられない
- どんな環境でも辞める人は辞めるし、続ける人は続ける
- だから個人の選別の問題であって、会社が過剰に配慮しても結果は変わらない
これは『個人の選別論』と呼べる考え方です。「合わない人は合わない」「向いていない人は向いていない」というのは、ある意味で正しい部分もあります。
実際、だっとが10年以上Web系の会社で見てきた光景でも、「環境が良くても自分には合わない」と言って辞めていく人はいました。逆に、傍から見ると過酷な環境でも、本人が満足しているケースもありました。だから玉川氏の発言を「全部間違い」と切り捨てるのは、それはそれで正確ではないと思います。
ただし、『辞める側』の理由を一括りにしているのが、この論の弱点です。「辞めるやつ」のなかには、明らかに環境が原因で潰れた人と、自分のキャリア戦略で動いた人と、もっと別の理由で動いた人が混在しています。それを「結局辞めるんだから同じ」と扱ってしまうと、後述する『仕組みの問題』が見えなくなります。
常見氏の「精神論ではダメ」論を、まず素直に読む
常見氏の主張も、感情を抜きで言い換えてみます。
- 退職代行や静かな退職は、若者の精神的な弱さの問題ではない
- 社会・職場の構造が令和に追いついていない結果として現れている現象
- 個人の精神論ではなく、仕組みや構造で考えないと若者が苦しむ
これは『社会構造論』と呼べる考え方です。「個人の問題」ではなく「社会の問題」として捉える。労働社会学が専門の研究者らしい視座です。
データで見ても、常見氏の主張は裏付けがあります。たとえば新卒3年以内の離職率は33.8%で、ここ10年でほぼ横ばい。一方、退職代行の利用者数は2024年度に1,814名と統計が取られ始めています。「辞める割合」は変わっていないけど「辞め方」が変わっているのは、確かに個人ではなく仕組みの変化として説明したほうが筋が通ります。
ただ、こちらの論にも弱点があります。『社会の構造』を強調しすぎると、結局個人がどう判断すればいいのかが見えにくくなるのです。「あなたが辞めたいのは社会のせい」と言われても、当の本人が今日明日どう動くべきかは、社会論からは出てきません。
だっとが感じた、両者に抜け落ちている第3の論点
両者の発言を読んで、だっとが「これがないと話が前に進まないな」と感じたのは、『個人の納得感』という論点です。
辞めるかどうかを決めるのは、
- 玉川氏の言う『個人の選別』でもないし
- 常見氏の言う『社会の構造』でもなく
- 本人が「これは辞めるべき状況だ」と納得できるかどうか
なんです。納得できれば辞めればいいし、納得できなければ続ければいい。その判断材料が手に入る状態にしてあげることが、本来は周りの大人や情報発信者の仕事だと、だっとは思っています。
この観点から見ると、玉川氏の「辞めるやつは辞める」は判断材料を提供しない。常見氏の「精神論ではダメ」は判断者が誰なのかを曖昧にする。だから両者ともに、辞めるかどうかで悩んでいる本人にとっては、すぐ役に立つ話になりにくい。
実際にだっとが10年以上勤めた会社を辞めたとき、決め手になったのは「居心地はいいけど、履歴書が何年も一行も増えていない」という事実でした。これは『選別』でも『構造』でもなく、『自分の人生が止まっている』という納得感です。詳しい経緯ははじめまして、だっとです。10年以上勤めた会社を辞めた話にまとめてあります。
元社畜目線で見える、退職代行が必要な3つの理由
論争の整理から離れて、『退職代行はなぜ存在しているのか』の現場目線も書いておきます。だっと自身は使っていませんが、客観的に調べた限り、必要な人がいるのは間違いありません。
1. 「辞めると言わせない」会社が現実に存在する
退職の引き止めがしつこいケースは今でも珍しくありません。「人がいないから無理」「損害賠償を請求する」「お前が辞めたら現場が潰れる」など、辞意を伝えても受け取ってもらえない事例は枚挙にいとまがない。退職は労働者の権利(民法627条)ですが、現場では権利行使に第三者の力が必要なケースがあります。
2. 「辞めるやつは辞める」と言える人は、辞められる人
玉川氏の発言は、本人が辞めると言える環境にいることを前提にしています。でもパワハラを受けた人の36.9%が『何もしなかった』というデータが示すように、声を上げられない側の人は、声を上げられないまま消耗しています。学生バイト時代のだっと自身がそうでした。退職代行はそういう人のための仕組みです。
3. GW前は『辞められない時期』のピーク
退職代行サービス『ガーディアン』の長谷川義人代表によれば、新卒の退職代行依頼は2026年4月8日時点で前年同期の1.5倍以上に達しています(Yahoo!ニュース 2026年4月23日配信)。論争が起きているまさにこのタイミングで、退職代行を必要とする人が現実に増えている。「辞めるやつは辞める」と言っているうちに、辞められず潰れる人が出るのが現場の実態です。
玉川徹氏の主張を「採用」しない理由
ここまで両論併記で書いてきましたが、最後に正直なところを書きます。だっとは玉川氏の『辞めるやつは辞める』論を、自分の判断軸としては採用しません。理由は3つです。
ひとつめは、その論で救われる人が見当たらないこと。辞める側にも、辞めさせる側にも、続ける側にも、行動の指針が出てきません。「結局そうなる」という観察以上のものがない。
ふたつめは、『辞める』を一括りにしていること。健全に辞める人と、潰れて辞める人と、戦略的に辞める人を、同じ「辞めるやつ」として扱うと、後者2つに必要な対策が見えなくなります。
みっつめは、『生き残る人間は生き残る』という言い方が、生存者バイアスにしか見えないこと。辞めずに残った人だけを見て「それでいい」と言うのは、辞めた側の事情を最初から視野に入れていない論理です。
これは玉川氏個人への批判というより、『この論で物事を判断すると、誰かが取り残される』という構造への違和感です。だっとは元社畜うさぎとして、取り残される側に立ちたいので、この論は採用しません。
常見氏の主張も、そのまま受け取らない
一方で常見氏の『社会構造論』も、そのままでは判断材料になりにくいと感じています。
「社会が変わりきれていない」「若者が苦しむのは構造の問題」というのは、長期的な分析としては正しい。でも、今日明日辞めるかどうかを悩んでいる人には、もう一段下の解像度が必要です。
具体的には、
- 自分の状況は『辞めるべき』なのか『続けるべき』なのか
- 辞めるとしたら、どういう手段で辞めるのが安全か
- その手段にはどんな選択肢があるのか
ここまで降りて初めて、本人の判断につながります。常見氏の主張は、その手前で止まっている。だからだっとのような『現場の判断材料を提供する側』が、もう一段降ろす必要があると思っています。
「辞めると決めた人」が、論争に巻き込まれず動くために
論争はSNSで盛り上がっていますが、当事者にとって大事なのは『今の自分が何をするか』です。辞めると決めた人が、論争に巻き込まれずに動くための選択肢を整理しておきます。
男性なら:男の退職代行(労組型)
労働組合が運営しているので、有給消化や退職日の調整など『交渉』が合法的にできるのが強みです。料金は労組型のなかでも標準的で、TSR2026調査で企業側が警戒している『民間型』ではないため、連絡を取り合ってもらえる可能性が高くなります。
女性なら:わたしNEXT(労組型)
女性向けの労組型サービスです。男の退職代行と同じグループの運営で、女性特有の退職事情(妊娠・産休関連、ハラスメント)への対応に慣れているのが選ばれる理由です。
金銭トラブル・ハラスメントが絡むなら:ガイア法律事務所(弁護士型)
未払い残業代の請求、退職金の交渉、損害賠償の脅しなど、法律マターが絡む退職には弁護士型が必須です。料金は労組型より高めですが、最初から弁護士に依頼しておけば、後から『労組型では対応できない』と知って詰むリスクがありません。
3社の特徴を一覧でまとめたい場合は、退職代行サービス3社を徹底比較も参考にしてくださいね。
まとめ:論争に答えはない、自分の納得だけが指針
- モーニングショー4月23日放送で、玉川徹氏と常見陽平氏が退職代行をめぐり大激論
- 玉川氏は『個人の選別』、常見氏は『社会の構造』で語ったが、両者ともに『個人の納得感』が抜け落ちている
- 辞めるかどうかは、選別でも構造でもなく、本人が「これは辞めるべき」と納得できるかで決まる
- 「辞めるやつは辞める」は救われる人が見えず、「精神論ではダメ」は判断者が曖昧
- 辞めると決めた人は、論争に巻き込まれず労組型・弁護士型から自分の状況に合うものを選ぶのが現実的
だっとが言いたいことはひとつだけです。『辞めるかどうかは、テレビの論争ではなく、自分の納得感で決めればいい』。論争はそれを邪魔する材料にも、決断を後押しする材料にも、どちらにもなり得ます。距離を置いて、自分の状況を見つめ直す時間をとってみてくださいね。
新しい情報が入りしだい、この記事も随時アップデートしていく予定です。
参考・出典
- J-CASTニュース「若者は甘やかされているか?「モーニングショー」で常見陽平、玉川徹が大激論「精神論」「辞めるやつは辞める」」(2026年4月23日)
- J-CASTニュース「玉川徹氏と大激論の常見陽平氏「本当に怒っている」…若者の働き方と京都の事件めぐって 取材で明かした真意」(2026年4月25日)
- デイリースポーツ「玉川徹氏の『辞めるヤツは辞める』に専門家が猛反論『全く賛同できないですよ!』働き方の考え方で論争」
- Yahoo!ニュース「『退職代行の利用は昨年の1.5倍以上』今年の新入社員に起きている『異常事態』」(2026年4月23日配信、ガーディアン長谷川代表コメント)
- 厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」
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だっと
Web業界10年以上→退職→キャリアチェンジ。退職・転職をデータと体験で語ります。
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